大場なな。
聖翔音楽学園第99期生 出席番号15番。
中学時代、1人きりの演劇部で孤独の中にいた彼女は、この学園で初めて舞台を創る本当の喜びを知る。
同じ舞台を目指し、手を取りあった99期生という同志。
幕が下りた瞬間の沸き立つ拍手と、身を震わせる充実。
燃える宝石のような煌めき。
輝く虹のような幸福な日々をもう一度―――
あの眩しさに囚われたななは、キリンが主催する謎のオーディションに参加。
合格者となった彼女は、運命の舞台に「第99回聖翔祭、あの一年間の再演」を望む。
「いいでしょう」
そして再び始まる、「あの一年」。
ななは開花させた才能の全てを、眩しい日々の「再演」に注ぎ込む。
だが、彼女は未だ知らない。
全く同じ舞台は無いということを。
終わらない舞台は無いということを。
繰り返す再演の先に、廻る輪舞の幕が上がる。
「演じたはずの舞台。なのに、わたしの知らない舞台」
「それが、ロンド・ロンド・ロンド―――わかります」